はじめに
今回はスラップの基礎(実践編)について解説していきます。
長年スラップをやってきて最初に知っておきたかったことも記載しています。
- スラップは知っているけど実際にどうやって弾くの?
- 何を練習すれば良い?
- どんな音が正解?
という方の参考になれば幸いです!
スラップとは何?という方に向けての記事も参考にしてみてくださいね。
基礎練習フレーズについての記事もアップしました!
解説動画
文章だけで奏法の解説をするのも難しいので、まずはこちらの動画をご覧ください。
簡単ではありますが、スラップに必要な右手の動きやサム・プルの基本について
解説しています。
本記事は動画内容の補足と伝えきれなかった部分を説明していきます。
手の向き
まずは右手の向きについて見ていきましょう。
大きく分けて以下の二つに分類できます。
- 横向き(スタンダードスタイル)
- 縦向き(フリースタイル)
それぞれメリット・デメリットがありますが、
一番は好きなアーティストを真似たり、自分が弾きやすいスタイルが正解です!
詳しく見ていきましょう。
横向き(スタンダードスタイル)
最も一般的な構え方です。
右手の親指が横(弦と並行)ですね。
メリット
- サムアップや指弾きに繋げやすい
- 奏法に関する情報量が多い
デメリット
- 後述のフリースタイルに比べてパワーを出しにくい(慣れれば遜色無いです。)
私もこの横向きスタイルでスラップをすることが多いです。
様々な曲にも使われていますし、楽曲のカバーにも簡単に適用できます。
主なアーティスト
以下に代表的なアーティストを紹介します。
いずれも私が大きく影響を受けたスーパーベーシスト達です。
- Marcus Miller
- Victor Wooten
- Mark King
縦向き(フリースタイル)
こちらも良く用いられる奏法です。
右手の親指が弦に対して垂直ですね。
比較的ベースを低い位置に構えるベーシスト達に多いです。
ストラップを長くして指を横向きにするのは手首を痛める可能性があるので注意ですね。
メリット
- ステージ映えがある
- パワーのあるアタックを出しやすい
デメリット
- サムアップなど、応用的なスラップ奏法に繋げにくい
二つの手法に共通して、メリットとデメリットがそれぞれ少ないです。
練習次第でその他はカバーできます。
主なアーティスト
以下に主なアーティストを紹介します。
どのベーシストもかっこいいので是非チェックしてみてくださいね。
- FLEA(Red Hot Chili Peppers)
- Fieldy(Korn)
- フクダヒロム(Suspended 4th)→ スタンダードスタイルと組み合わせたハイブリッドです
ベースのどこで弾くの?
これまでで右手の構え方・角度はイメージできたと思います。
では、ベースのどの位置に右手を持ってくるのが良いのでしょうか。
前
前側(ネック側)です。
ここが(多くの人にとって)正解の位置であり、最もポピュラーです。
サムは最終フレット(私のベースだと24フレット)に弦を叩きつけるイメージです。
そうすることでスラップ特有の固いアタック感のある音を簡単に出せます。
プルはネックエンド(指板の終わり、ボディとの段差があるところ)に近い位置で
引っ張りましょう。
ベース弦は後方のブリッジと前方のナットの2点で支えられています。
紐状のものを2点で支えたらその中心が一番振動させやすいですよね。
弦の振動は結果として音量につながるので、中心に近い前側(ネック側)で弾きましょう。
トラッドな20フレットのベースだと24フレットに比べてより振動させやすいです。
お好みのスタイルからフレット数を選ぶのもひとつですね。
中間
参考までに他の位置の場合どうなるか考察してみましょう。
中間(ネックエンドとブリッジの間)です。
正直、ここでも弾けないことはありません。
ですが、前側に比べてアタック感が落ち、固い音も出しにくいです。
ここで弾いているベーシスト少なく、ArchspireのJared Smithくらいではないでしょうか。
後ろ
後ろ(ブリッジ)側です。
サムはアタックを出しにくいですし、プルはほとんどできません。
この位置でスラップをやろうと思わない方が良いです。
ブリッジミュートをしながら親指で弾く奏法もありますが、スラップとは別物です。
実際に手元で弾き比べてみてください。
指のどこで弾くの?
右手の構え方、そして位置は分かりましたね。
では次に指のどの場所で弾いているのか見ていきましょう。
動画でも触れていますが、写真中の黄色い丸の位置で弾きましょう。
親指の第一関節でサム、人差し指の側面でプルです。
親指は関節の太い箇所(一番固い位置)が理想です。
これらの位置で弾くことでアタックの効いた音を出すことができ、
音量感をコントロールしやすいです。
例えば、親指の先で弾いてみてください。
思ったように音を出しにくく、突き指しそうになりませんでしたか?
サム(サムピング)
では実際にどのようサムをしていくのか見てみましょう。
きちんと基本を押さえておくことで、
サムアップなどの上級技にアプローチしやすくなります。
私がスラップを始めた頃は情報量も少なく、なんとなく弾いていたので後々苦労しました。。。
動画の一部をご覧ください。※再生時間を変更して引用しています。
先ほど述べた手首の動きと指の位置を意識しながら、動画のように弾いてみましょう。
4弦だけではなく、すべての弦で安定して弾けるように練習することをお勧めします。
※譜面は例として4弦を弾いたものを記載しています。
ポイント
様々な弾き方がありますが、以下のポイントを意識してみましょう。
①弾いた後に次の弦に触れる
動画中の動きのように、
4弦をサムしたら3弦に触れておく
3弦をサムしたら2弦に触れておく
この動きを体に染み込ませておくと、
- 不要弦のミュート
- 親指の位置の安定
につながります。
左手のミュートで十分、または速いフレーズなので不要ということであればこの限りではありません。
②右手首の脱力
脱力と聞くと全く力を入れないと思う人もいるかもしれませんが、
必要な時以外力を抜く
ということです。
その必要な時というのは、弦に対してアタックする時です。
(正確にはその直前)
脱力した状態から手首の回転と合わせて力を高めると、
より強いエネルギーで弦にアタックできます。
しなやかなムチのように前腕を使うイメージです。
練習方法
ミュート状態でのサムの感覚が理解できたら、実音を出していきます。
以下のように確実に発音させましょう。
この時の左手は4弦5フレット(Aの音)を押さえています。
譜面のように休符も入れながら練習していくことで左手とのコンビネーションが意識しやすくなります。
ポイント
動画中では4弦5フレットを例にしていますが、ミュートが甘いとハーモニクスが鳴ります。
左手の人差し指で5フレットを押さえ、休符は残りの中指~小指で弦に触れましょう。
様々なポジションで弾いてみることで、左手のミュートや右手のアタックの感覚を養えます。
フレットの位置や弦によって右手に必要な力加減が変わってきます!
この位置だとこのくらいの力が良いな、という感覚をつかんでいきましょう!
プル
続いてプルです。
こちらもまずは1音をちゃんと出せるようにしておくことで、
2プルや3プルにつながっていきます。
左手は特定のフレットを押さえず、複数の指で触れてミュートしましょう。(ゴーストノート)
先ほど述べた指の位置・ベース上の位置で弦を引っ張り、リリースします。
サムと同様に、すべての弦で安定してプルできるようにしましょう。
※譜面は例として1弦を弾いたものを記載しています。
ポイント
1弦をプルする場合は下に弦がなくアプローチしやすいですが、
2~4弦は下に弦があるので人差し指を入れにくいと思います。
まずは確実に弦を引っ張れるように、ゆっくりと練習しましょう。
右手を見なくても目的の弦にアプローチできるように練習しましょう!
練習方法
プルのゴーストノートについて感触をつかんだら、実際に音を出してみましょう。
以下のように確実に発音させます。
この時、左手は小指で2弦7フレットを押さえています。
ポイント
左手のミュートと合わせて歯切れのよい音を目指しましょう。
サムとプルの組み合わせ
いよいよサムとプルを合わせた奏法に入っていきます。
これが皆さんがイメージするスラップというものですね。
この時左手は人差し指で4弦5フレット、小指で2弦7フレットを押さえています。
1フレットに対し1本の指と考え、薬指で押さえても大丈夫です。
むしろその方が1弦の音を足したい場合に小指を使えますのでお勧めします。
サムとプルを交互にする場合、やはり左手のミュートが大事になってきます。
この譜面の場合、オクターブ違いの同じ音なので同時に鳴っても違和感は少ないですが、
ちゃんと音を交互に出せるようにしましょう。
例)2弦7フレットをプルしているときに4弦5フレットの音を鳴らさないように
練習方法
実際に曲中でスラップをしていく場合に備えて以下の練習をしてみましょう。
違うポジションでの練習
例えば、4弦開放と2弦2フレットのポジションで弾いてみてください。
4弦のミュートはできますか?
2弦を人差し指で押さえて左手の残りの指でミュートする方法もありますが、
左手の親指を使ってミュートする方法も練習しておきましょう。
ギタリストがよくやる、指板の上から親指を出して端の弦に触る手法です。
音の長さを変える
今回記載している譜面は4分音符しか用いていませんが、
8分音符や16分音符などでも挑戦してみましょう。
具体的な練習方法やコツなどは引き続き発信していきたいと思います。
サムダウンの練習方法についての記事をアップしました!
まとめ
今回はスラップの基本(実践編)について解説しました。
これらの基本をやっておくことで2プルや3プル、ロータリー奏法などにもつながります。
また、スラップを用いている曲などの実例を多く知っておくことも上達につながります。
将来的にオリジナルのベースラインを考えていく上での勉強になると思います。
少しでも参考になれば幸いです!
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