概要
今回はBOSSから発売されているベース用コンプ、BC-1Xについてレビューしていきます。
- SNSでも使っている人を多く見るのでサウンドが気になる
- 今使っているコンプレッサーを変えたい
といった方々のベース用コンプ選びの参考になれば嬉しいです。
また、スラップ、指弾き、ピック弾きそれぞれおすすめのセッティングについても触れているので、パラメーターにお悩みの際もご参考ください。
- 2016年発売のマルチバンドコンプ
- 極端なものではないが、低域に独特の厚みが追加される「原音変化型」
- ベース本来の低域は全く失われない
- つまみは4つとシンプルで扱いやすいが、セッティングの幅は広い
- 入手しやすいが、価格は少々高め
発売から多くのベーシストのサウンドを支えてきているコンプレッサーになります。
セッティングもしやすく、ベーシスト達の「新定番」としてその地位を確立しています。
使っているユーザーが多いのも納得のサウンドです。
細かいところまでチェックしていきましょう!
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BOSS BC-1X
BOSSのベース用Xシリーズペダルは以下の2製品がラインナップされています。
- Bass Driver(BB-1X)
- Bass Comp(BC-1X)
ベーシストが重要とするコンプと歪みの2つをターゲットととし、多くのユーザーを獲得しています。
XシリーズペダルはBOSS独自の信号処理技術を採用しており、これまでの伝統的なシリーズから別のラインとして発売。
独自の信号処理技術を用いたサウンドはプロも使用するケースが多く、身の回りのベーシストが使っているのを見たことがあるのではないでしょうか。
BC-1XはそんなXシリーズから発売されたベース用コンプですが、
- 内部昇圧で18V動作
- ノイズ耐性の強さ
- インジケーターによる視認性の良さ
と完全プロ仕様の製品となっています。
BOSSのペダル型エフェクターは使っている人が多いし、、、
と避けてきましたが、音を出してみてその使われる理由がわかりました。
それでは詳細を見ていきましょう。
外観
いわゆる「BOSS筐体」のサイズ感は相変わらずで、これまで発売されてきた歴史あるペダルたちと同様となっています。
カラーは光沢のある緑に仕上がっており、Xシリーズ特有のミラーパネルが特徴的ですね。
筐体上部にはコンプレッサーON/OFFが分かるCHECK用のLED、
4つのつまみとその下部にゲインリダクション量が表示されるインジケーターが配されています。
in-out
in-outは筐体センターにあり、一般的なエフェクターと同様に右からin、左へoutとなっています。
電源仕様
筐体上部に設置された電源ジャック。
一般的なエフェクター同様、DC9Vのセンターマイナスで駆動します。
※BOSS純正のPSAアダプターの使用が推奨されています。
パワーサプライか9V電池から電源を共有しましょう。
9V電池はペダルスイッチ下部の銀色のねじを緩めることで交換が可能となっています。
インジケーター
4つあるノブの下部に、12個のLEDを使ったインジケーターがあります。
これはゲインリダクションの量が表示されるもので、視覚的にもコンプレッサーの動作が把握できるようになっています。
機能としても素晴らしいですが、アタックに合わせて反応するので弾いていてテンションが上がりますね!
個人的には本機やempressやClefsのコンプのようにインジケーターが搭載されたペダルは大好きです。
コントロール
筐体上部にある4つのノブですべてのサウンドを決定します。
つまみの量としては一般的か少ないと感じますが、必要最低限なパラメータですね。
公式にも正確な数値は公開されていませんが、どの値も違和感なく設定できるものとなっています。
つまみはしっかり目の抵抗感で、上部がへこんだデザインも相まってペダルボード内部で設定が変わることはほとんどないでしょう。
LEVEL
コンプレッサーを通した後の出力レベルを設定します。
効きもかなり良く、しっかりと違和感なく持ち上がってくれます。
ペダルのON/OFFで原音との音量を比較し、圧縮された分の音量を持ち上げましょう。
RELEASE
圧縮の保持時間を設定します。
正確には、どのタイミングで圧縮を解除するかというパラメータになります。
スラップなどの歯切れの良い奏法は速め、
スローな指弾きなどは遅めに設定することが多いです。
左に回すほど速くなり、右に回すほど遅くなります。
実際に耳で確認しながら弾く曲やジャンルによって設定しましょう。
RATIO
圧縮比率を設定します。
左に回すほど比率が低くなり、右に回すほど比率が高くなります。(より強く圧縮される)
THRESHOLD
圧縮する信号の閾値を設定します。
左に回すほど閾値が下がり、低い音量でも圧縮がかかるようになります。
右に回すほど閾値が上がります。
繋げるベースの出力によって左右されるパラメータなので、実際にサウンドを聞きながら設定していきましょう。
最近はベースの直後に1ノブのプリアンプやバッファーを接続するケースも増えてきましたね。
コンプレッサーを使う場合はそれらの出力(コンプの入力)ゲインも意識しましょう。
サウンドチェック
サウンドチェック用の動画を作成したので是非ご覧ください。
動画の内容は以下の通りとなっています。
- センターのセッティング
- 各つまみの動作チェック
- 浅めのセッティング
- 深めのセッティング
- おすすめのセッティング
なお、それぞれのセッティングにおいてスラップ→指弾き→ピック弾きでチェックしています。
拙い演奏で恐縮です。
録音環境及びシグナルチェインは以下の通りです。
- ベース:Sugi NB4(Passive)
- ペダル:BOSS BC-1X(本機です)
- DI:Floatia Designs TFDI-02
- オーディオインターフェース:RME Baby Face Pro FS
- DAW:Studio One 6 Professional
セッティング方法
動画内で紹介しているセッティングについて見ていきましょう。
各パラメーターの動作についてもチェックしているのでこのコンプの特徴をつかんでいただければと思います。
全センター
とりあえずLEVEL以外のつまみをセンターにしてサウンドチェックしています。
※LEVELはON/OFFで圧縮された分を持ち上げる程度にしています。
スラップ時は最大で約-15dBの圧縮が掛かり、このコンプレッサーのキャラクターが聞きやすいと思います。
しっかりと圧縮されたサウンドは特に低域と高域の密度が非常に高まり、存在感のあるものにレベルアップしてくれますね。
コンプの中でもいわゆる「原音変化型」に分類されると感じましたが、特に違和感は感じませんね。
この特性が好きであれば積極的に使っていきましょう。
コントロールの動作確認
続いて各コントロールの動作についてチェックしていきます。
※各動画は再生位置を変更して再度掲載しています。
RATIO
まずはRATIOです。
このセッティングの場合、センターでもしっかりと圧縮が掛かっていますね。
右に回すほど圧縮比率が高まり、より圧縮されます。
明らかに「コンプが掛かっている」音になっていますが、低域がそこまで失われることはありませんね。
対照的に、左に回すほど圧縮比率が低くなります。
よりナチュラルに圧縮したい場合は左寄りにすることをお勧めします。
正直つまみMAXで使用するケースは少ないと思いますが、破綻しているサウンドではないと思います。
THRESHOLD
右に回すほど閾値が高くなり、最大では全く圧縮されないことが分かります。
逆に左に回すほど閾値が低くなるので、積極的に圧縮したい場合は左寄りに設定してあげましょう。
前段にペダルをつないでも圧縮の範囲を保てるような懐の深さを感じます。
RELEASE
右に回すほど遅くなり、左に回すほど速くなります。
速めのスラップなど、細かいピークが多い時は速めにリリースしてあげた方が自然に聞こえると思います。
RELEASEがフレーズに対して遅すぎると、次のピーク時もコンプレッサーが動作したままなのでフレーズの頭などダイナミクスを持たせたい場面で平坦なサウンドになってしまいます。
RELEASEと対になるパラメータにATTACKがありますが、本機にそのつまみは搭載されていません。
RELEASEの設定値に合わせて自動的に最適な値に変化させていると予想します。
浅め
浅めのセッティングによるサウンドをチェックしていきましょう。
約-3dBのゲインリダクションを目標に設定しています。
画像の通り、以下のセッティングにしています。
- RELEASE:12時
- RATIO:8時
- THRESHOLD:12時
浅めのセッティングにすることで、ダイナミクスを持たせつつも気になるピークだけ自然に圧縮させることができます。
深め
次に、深めのセッティングをチェックしてきます。
ピーク時で約-15dBのゲインリダクションになるように設定しています。
画像の通り、以下のセッティングにしています。
浅めのセッティングと比較して、シンプルにRATIOのみ変更していますね。
- RELEASE:12時
- RATIO:15時
- THRESHOLD:12時
深めのセッティングにすることでペダル本来のキャラクターがわかりやすくなると思います。
やはり低域をしっかり保持してくれている印象があります。
個人的にはここまではっきりしたセッティングを使うことはありませんが、音作りの方向性によっては使えるサウンドですね。
おすすめのセッティング
最後におすすめのセッティングを紹介します。
スラップ、指弾き、ピック弾きのそれぞれでチェックしていきます。
スラップ
以下のセッティングに落ち着きました。
- RELEASE:10時
- RATIO:13時
- THRESHOLD:13時
RELEASEを速めにすることで細かなスラップフレーズでも違和感なく圧縮できますね。
圧縮が掛かったまま次にフレーズに入ってしまう、という現象が起こりにくくなります。
ピーク時のゲインリダクションは-8dBとしっかり目の圧縮を狙っています。
指弾き
以下のセッティングがおすすめです。
- RELEASE:13時
- RATIO:10時
- THRESHOLD:14時
スラップ時とは異なり、RELEASEを遅めにすることで弾いた直後の「ねっとり感」が得られると思います。
ピーク時で約-6dBのゲインリダクションになるように設定しています。
ピック弾き
ピック弾きは以下のセッティングにしています。
- RELEASE:15時
- RATIO:15時
- THRESHOLD:14時
指弾き時よりもさらにRELEASEを遅くし、より積極的な圧縮感を得るような設定です。
ピックは指弾きよりもアタック時のピークが強く出る傾向にあるので、圧縮時間が長くてもアタックの存在感はそのまま残すことができますね。
ご自身のプレイスタイルや弾く曲によって納得のいく設定を探っていきましょう!
メリットデメリット
BOSS BC-1Xを導入するにあたってのメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
- シンプルなつまみでセッティングの「間違い」が起こりにくい
- 深めのセッティングにしてもベースで重要な低域が失われない
- セッティングの幅も広く、実用範囲内
- 生産量も多く、入手しやすい
多弦ベース(5弦)でも試してみましたが、ローBの存在感も失われることもなく十分対応可能になります。
また、特に高域の濁りもないと感じたので内部昇圧18V駆動の強みだなと。
デメリット
- いわゆる「原音変化」型なのでベース本来のサウンドのまま圧縮したい場合はおすすめできない
- 価格は2万円台中盤と決して安くないが、性能を考えると
ナチュラルなコンプを探している際は以下の製品がおすすめです。
まとめ
今回はBOSSから発売されているベース用コンプレッサー、 BC-1Xについてレビューしてきました。
入手性も良く、歪みと合わせてしっかりコンプの効果を狙いたいユーザーにはお勧めします。
まとめると、
- 2016年発売のマルチバンドコンプ
- 極端なものではないが、低域に独特の厚みが追加される「原音変化型」
- ベース本来の低域は全く失われない
- つまみは4つとシンプルで扱いやすいが、セッティングの幅は広い
- 入手しやすいが、価格は少々高め
となります。
皆さんの機材選びの参考になれば嬉しいです。
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